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           つばさ川柳124号 
初夢は富士を背に飛ぶインパルス   故大西芙三男 歳月の厳しさを知る皺である 年並みにガタはあるらし我が卒寿 背番号つけて閻魔に裁かれる
繕いで潤いのある暮らし方       蜂巣  徹 欲張って取っておいてもすぐ忘れ
銀杏など愛でるは一時末はゴミ     藤沼 智弘 品揃え良すぎる店で買う苦労
日向ぼこ浮き世の憂さの捨て所     宝納 徳一 口喧嘩増えて八十路の共白髪
重傷度手術時間で推し量り       堀内今一歩 人減らし精鋭残るとも見えず
政争もお池の中の主導権        蒔苗八十八 どんぐりの大将だれか決めかねる
靴磨き忘れてしまうスニーカー     若松 靖夫 下の世話すっきり笑みに修羅和む
帳尻が合うのは閻魔様の前       岩崎 篤子 勲章やゼニが有っても舌抜かれ

救急車手を組んでいる胸の前      上田 将子 春を待つ日々に元気なシクラメン
昭和史を語れば尽きぬ顔の皺      木村  泉 あなたもかドミノ骨折歳ですね
小銭だけ増えてしまらぬ財布かな    佐原 利幸 月極の痛みいや増す駐車代
喜寿を過ぎ終の棲家を定めかね     鈴木  至 ウオーキング人に抜かれて老いを知る
車座になって意見が廻り出す      末田 洋一 穏やかな口調うっかり判を押す
さりげなく忘れたふりの思いやり    竹重 満夫 石橋を前にウロウロする弱気
老犬に曳かれ散歩のお爺さん      田所  健 デパ地下で共に手を出しテレ笑い
迷走にしびれ切らして知事が立つ    中井  極 うそばかり掲げ戦う選挙戦
塗り箸でカレーライスを賞味する    願法みつる 辛酸をなめて濃茶の至福時

課題 『まさか』      みつる選
  維新風まさかまさかのホコリ立て  蒔苗八十八
  エッうそー信じられない本当なの  若松 靖夫
  宝くじまさかまさかの運だめし   田所  健
  神と金まさかの時に拝むのみ    佐原 利幸
  総選挙まさかの党が現れる     堀内今一歩
  真夜中のわが家まさかの非常ベル  上田 将子
   茶飯事にまさかが起きる世の怖さ  木村  泉
   健康を過信まさかが忍び寄る    末田 洋一
   良い方のまさかはめったには来ない 竹重 満夫
   まさかとは嬉しいときに使いたい  藤沼 智弘
   誰かやる何でわたしに白羽の矢   蜂巣  徹
秀 復興費まさかまさかの使いみち   中井  極
秀 朱に染みて赤に変ずる野田総理   鈴木  至
秀 またひとつ想定外の年を取る    宝納 徳一
軸 怒るのはやめよう地球暑くなる   願法みつる
 今回の課題ではありませんが「まさか」です。つばさ川柳子最長老の大西芙三男氏が、十月に九十一歳の天寿を全うされ、安らかに旅立たれた由。前号までは健筆でご投稿頂いておりました。ご冥福を祈りつつ、往年の名句を冒頭に掲載いたします。
 今回は、某句会で選から外れた没句の幾つかを紹介して、現代川柳勉強の資とします。課題は「凹む」。
 「ご先祖に凹まぬように手を合わす」 
「凹む穴夫婦の絆でふさぎ合う」 
「凹凸のおにぎり辛い父の味」
「自惚れか敵七人で凹んでき」 
「一世紀前が沼地と知る液状」
課題は動詞ですが、当然「形」として捉え、そこから心象的に表現しても宜しい訳です。着想は赤字とか、臍、足跡、ドジ、不信感、ブルーデイなど。
では掲句がナゼ没になったのでしょうか。一句目、心象的であるようですが、それでも上中句が意味不明。二句目、上句が馴染めない抽象です。また中八はリズムの失敗。三句目、課題が凹むであるのに凹凸では課題から離れます。また「辛い」はツラいなのかカラいなのか不明。四句目、意味不明。下句が「し止め」の失敗。五句目、詠み込まない努力は良としても、下六で失敗。それぞれの句は、着想は良としても、読まれることを意識した句作りの工夫が必要でしょう。
古川柳紹介はしばらくお休みすることとして、今回のような勉強を数回続けてみます。

次号課題は「見舞い」。課題句二句と自由句は三句をご投稿下さい。締切日は、二月末日です。