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    つばさ川柳 願法みつる編 (134号) 

人も樹も早やうな垂れる暑さ負け    上田 将子
心地良い日々懐かしむ夏の候      
ふと気づく耳鳴りという騒がしさ    佐原 利幸
塾講師生徒悩ますご迷答
中入りに抹茶楽しむ徹夜酒       鈴木  至
大腸の風邪か癌かに迷う闇
平凡で何より今日も無事終える     末田 洋一
おだてられ貧乏くじもいい刺激
八十路入り残り時間を思案する     田所  健
若き日の恋のときめき夢のごと
俺だオレ会費未納だ振り込んで     谷井 修平
LED青くするのは値段表
老醜を晒さぬように心掛け       中井  極
ちっぽけな領土を増やす火砕流
同期会薬の数で序列付け        濱田 喜己
一里塚旗を立てては乗り越える
陽に焼けた訳はゴルフと言っておく   蜂巣  徹
オカリナのホーホーホーがよくハモる
五輪までいやリニアまで欲が出る    藤沼 智弘
身体検査批判されても気の休め
老いの夏何はなくとも冷奴       宝納 徳一
爆買いに行儀悪でも上得意
剣道とバレーで部活二卵性       堀内今一歩
バレー部でビリギャルコースまっしぐら
妻の愚痴五月の蝿といい勝負      蒔苗八十八
老人会声の大きい順の席
献体で野辺の送りはありません     若松 靖夫
子を成さぬ同性婚も婚の内
夏枯れのアタマ必死に句を拾う     岩崎 篤子
柴犬の媚びず吠えないわが家族
様々な神の知恵でも出ぬ平和      願法みつる
今更の後ろは見ない修羅の道

課題  『留 守』      みつる選
  食事中テレビへ箸が留守になる   蜂巣  徹
  留守番は得意で今日も摘み食い   蒔苗八十八
  渡り鳥カラス雀に留守を告げ    若松 靖夫
  居留守して鉢合わせする間の悪さ  田所  健
  髪の毛の不在自体もクールビズ   佐原 利幸
  閑居して主要任務は留守居役    鈴木  至
  二三日留守の畑に後ろ髪      岩崎 篤子
  留守をする写真の息子元気過ぎ   堀内今一歩
  留守電の声におののく老夫婦    中井  極
  留守番の寝込みへ不意のベルが鳴り 上田 将子
  戸締まりが不安になって引き返す  末田 洋一
  煽てられてくてく今日も家空ける  宝納 徳一
  飼い犬と伸びをしている留守居役  谷井 修平
  留守番も電話さばきに疲れ果て   藤沼 智弘
  老々も居ることだけで喜ばれ    濱田 喜己
軸 図らずも賢妻どのは旅行中     願法みつる

  旅をした遠い軌跡の地図なぞる   木村  泉

 「自由句と課題句について」―6
   課題句の選について続けます。
 選者は、与えられた課題に対する投句の中から、良心的で公平な選をすることが求められます。小さな句会であれば二〜三十句への投句に、大会ともなれば二百〜三百句に対峙するわけです。時間的には一時間位でしょうが、大きな大会などでは一時間半位。その他、誌上大会などになると、一千句を超える場合もあり、これには数日を要することもあります。
 ところで、選には単独選の他に複数選があると前に書きました。単独選であれば投句と選句の関係は一発即決ですね。しかし複数選になると事情が変わります。
つまり、選句は選者の勝手ではありますが、選者の川柳観は各様に異なります。結果として、或る課題に対する選句の内容が、選者によって異なったものになります。しかしそれは当然のこととして受容されます。
 新聞や雑誌の文芸欄で、短歌や俳句あるいは川柳の複数選の結果を見ることが出来るでしょう。よく見掛ける二人選でさえ、同一句の選が少ないですね。同じことなのです。ですから見方を変えれば、複数選の場合、投句者は複数選者に挑戦する訳ですから、抜かれる可能性が複数あるという事になります。
 先般私も選を担当した誌上大会の場合は、十人選でした。投句数は一千二百を超えていました。二句吐きの大会でしたから、六百名以上の参加者が居ると言うことです。その中から百十六句だけを選んだ訳ですが、結果として相当なばらつきがあることを想像出来るでしょう。そこに課題句への挑戦の面白さがあります。
 或る選者が特選に抜いた句が、他の選者では全く抜けていないと言う例も多々あります。では選とはどの様な態様なのでしょうか。そのお話は次回に。

 次号課題は「例 外」。課題句二句と自由句は三句をご投稿下さい。締切日は八月末日です。
 例句「賤の屋へ頓珍漢な詐欺電話」(みつる)