つばさ会トップ   同好会トップ   つばさ川柳トップ



    つばさ川柳 願法みつる編 (135号) 

老眼も離せば読める昼の内       佐原 利幸
腰痛を治せば膝が痛み出す
城めぐり気合いで登る天守閣      鈴木  至
訃報にも感傷湧かぬ八十路過ぎ
訳もなくひとり酔いたい夕間暮れ    末田 洋一
また同じところで狂う古時計
故郷に傘寿集まるクラス会       田所  健
訃報知る昔は電話今メール
四と九マイナンバーが揉めている    谷井 修平
壁ドンのオトコが尻に敷かれてる
抑止力期待の星か安保法        中井  極
詫びるのももうこれきりと詫びを入れ
花づくり喜ぶ顔に励まされ       濱田 喜己
コスモスと秋風揺らす赤トンボ
道ふさぐ車同士の立ち話        蜂巣  徹
世も進みカラスが人を追い立てる
暑いけど走る球児に励まされ      藤沼 智弘
暑い夏戦争談義かしましい
永らえて地獄の責め苦暑と寒と     宝納 徳一
あつものに懲りず原発再稼動
今風にゲリラ豪雨と名も変わり     堀内今一歩
水音は鯉と闘うカイツブリ
寒暖もスッポンポンで夢の中      蒔苗八十八
世の中を斜めに生きる術も知り
涙腺のゆるみ隠しに眼鏡拭く      若松 靖夫
防人の威力は戦させぬこと
美人なら天才ならば今は無し      岩崎 篤子
皆老いる美男も美女も例外も
地下街の隅清貧の達磨さん       願法みつる
ロボットが夜学に通いたいと言う
課題  『例 外』      みつる選
  暑い夏例外だってあってよい    藤沼 智弘
  例外の口実探す休肝日       中井  極
  老齢化例外はない同期生      堀内今一歩
  例にない人生送る幕を引く     田所  健
  縄のれん不意の休みで直帰館    蜂巣  徹
  徴兵を苦役と申す稀な国      鈴木  至
  傘寿過ぎ世間知らずが胸を張る   蒔苗八十八
  良妻で賢母と言われ百を超え    谷井 修平
  本当に鷹を生んだと騒がれる    佐原 利幸
  戦犯が英霊となる摩訶不思議    宝納 徳一
秀 心地よい平和ことばに惑わされ   濱田 喜己
秀 こっそりとあなただけよと恩に着せ 若松 靖夫
秀 ボクだけがどうして親に似ていない 末田 洋一
軸 パチンコで豪邸建てた人もあり   願法みつる

 「自由句と課題句について」―7

 ここで、投句に対する抜句数ということに触れて、少々タイムスリップの旅をしてみましょう。

 江戸の町の構造が安定化して、庶民に経済力もつき、芸能・文芸の中心が、京・大坂から江戸に移り始めて多彩に華開したのは、元禄の頃とされています(所謂、文化の下りものと言うべきかも知れません)。徳川家康が江戸に幕府を開いてから八十年を経ています。ご存知、五代将軍綱吉の頃です(現代に照らしてみれば、暗澹とした昭和期から現今に至る期間にも等しい訳ですから、比較して考えると、想いも一入です)。
 その江戸で、俳諧の世界で賑わっていた前句附が、一旦幕を下ろしたのは、かの有名な八代将軍吉宗による享保の改革だったそうです(こうして、歴史話の横道に逸れるのも、存外面白いものですね)。

 これが息を吹き返したのは次の宝暦・明和の時代。社会が倹約から華奢に変化し、人心が自由闊達に発露した頃、前句附がその名も万句合となり、武士から庶民に至る幅広い層に関心を得ました。記録でも、様々な点者(評者)が各所で講を開いていたようですが、その中で最も人気を得たのが、ご存知、柄井川柳です。
 川柳の初回興行での寄句(応募句)は二〇七句のみで、その時の勝句(入選句)は十三句だったそうです。勝句率の六・三%という高率は、他に比しても高かったようですが、これも初回でのサービスだったかも。その後、毎月二回の開きでの句数は、千句・二千句と逐次増加し、間もなく万句を超えます。二万五千句を超えた記録もあります。その間の勝句率(入選率)は、三%程度だったようです。
 因みに、今年のサラリーマン川柳の応募数四万超句。百選での抜け率は〇・二四%ですが、その句があの程度なのですから、投句全体の傾向も推して知り得ます。同じく今年の全日本川柳大会での事前投句は千九百名で、入選句数は各題七十三句、約二%。そして当日参加六百名による席題でのそれは六%でした。
 一般的な大会での入選句率は、十五%前後だと思われます。各吟社句会などでは、参加者に幅がありますから、二十〜三十%でしょう。また地域でのサークル活動や勉強会句会では、同好柳氏の切磋琢磨と交流が狙いですが、三十%〜四十%位でしょうか。
 皆さんのつばさ川柳では、自由句は六十七%、課題句は五十%ですね。如何ですか。
 では次回は元に戻って、自由句について勉強します。
 次号課題は「ロマン」。課題句二句と自由句は三句をご投稿下さい。締切日は十一月末日です。