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    つばさ川柳 願法みつる編 (136号) 

対テロに飲み屋選びも気を使い     鈴木  至
嘘つきの国に閻魔もご裁断
一日の愚痴を聞いてるコップ酒     末田 洋一
女房にセンターライン犯される
クラス会昔の想い消え失せる      田所  健
認知症ついに来たかと身構える
国会で平和守るとプラカード      谷井 修平
日本の美を外人が褒めちぎる
嘘比べ杭と肥やしの土の中       中井  極
ジェンフリの牙城が迫る戦闘機
待ち望む情景が撮れえびす顔      濱田 喜己
新築と子供の声が活気呼ぶ
雑草の強さの秘密根の力        蜂巣  徹
孫たちと会える機会も金次第
自動車の自動操縦まだ怖さ       藤沼 智弘
プーチンもドーピングやらトルコやら
着飾ってそこ退けそこ退け七五三    宝納 徳一
小春日や出を待つ杖と万歩計
幸せな今日も元気に寝酒飲む      堀内今一歩
観光に田舎民宿加えられ
模写模倣天下御免のお墨付き      蒔苗八十八
バッタ引く蟻大群を愛おしむ
同性婚絶滅危惧種への兆し       若松 靖夫
面倒だ煩わしいも生きる糧
誰かしら背広姿の孫が居た       上田 将子
年明けて卒寿にはサテ何をする
来しかたや越中島は遠くなり      岩崎 篤子
軍神の松前源田在りし頃
気をつけの姿勢も丸い背なになり    佐原 利幸
二杯目のお代わり笑う腹回り
母さんが叱ってくれた日の遠さ     願法みつる
ご近所に聞けば好い人良い家族

課題  『ロマン』      みつる選
  パリ今やロマンのキ名乗れない   藤沼 智弘
  町工場神業が生む大ロマン     鈴木  至
  青い服空へのロマン掻き立てる   末田 洋一
  天然のロマンスグレー風を切る   蜂巣  徹
  極薄のスマホに秘める大ロマン   佐原 利幸
  国護るロマンを誘う志願制     中井  極
  ロマンなど縁ない時代過ぎてゆき  上田 将子  
  おらが国津軽ロマンの米がある   蒔苗八十八
  八十路にもカナダへスキー誘い笑む 若松 靖夫
  杖つかず背筋伸ばして好々爺    濱田 喜己
  日々新た胸の想いを膨らます    堀内今一歩
秀 故郷で母と乗りたい七つ星     谷井 修平
秀 天平の甍の上を舞う天女      田所  健
秀 零戦にかけた青春夢枕       宝納 徳一
軸 あの世でも年金で飲む浮かれ酒   願法みつる

  「自由句と課題句について」―8」
 自由句とは、課題句(題詠)に対比する姿勢句で、雑詠とも言われます。固定した題・課題にとらわれず自由な発想で作句することを言います。「雑」という字が気になるかも知れませんが、俳句でも使用する用語です。
 ところで川柳を成句としてみた場合、それが自由句なのか課題句なのかの判断は、難しくなります。
 「友だちのうしろ姿の有難味」 (川上三太郎)
 「友」とか「姿」「感謝」などの課題吟なのか、三太郎の自由吟なのか、判然としません。それはそれで良いのです。句はあくまでも独立してこそ句であり、課題や作句理由が添えられていなければ句として読み取れないというのでは、失敗作でしかありません。
 課題句の場合は、題が出発点ではあるといえます。だからといって、題そのものを詠み込めば済むという問題ではないことは、ご承知の通りです。
 その点、自由句は、作句の原点が、作者のその時々の想いや主張の主張にある訳ですから、敢えて言えばその「想い」そのものが主題でもあります。モチーフとか動機と考えても良いかも知れません。何の考えもなしに句を作る、句が出来たと言う事はない筈です。日常茶飯に句材は無限です。天然自然のこと、家族のこと、社会事象のこと・・・それらを見・聞き・知ることで思う「心」を詠うのが自由句です。与えられた課題や限定された場ではありません。どなたも、寝床や風呂場などで、突然に句想が沸く経験をお持ちでしょう。得てしてその傑作は、すぐ幻に変化しますが。
 思い付いたこれら主題となる句材から、何を言いたいか、どの様に表現するかについては全く自由です。そこは川柳作句の自由空間です。宇宙より大きな精神世界です。あり得ない希望や悪戯な虚構も結構です。
 単なる事象の説明句や情景句では、川柳の面白さや豊潤さは得られないでしょう。ただご自分の記録として留めるだけ、というのであれば別ですが。
 先程の三太郎の句にはどの様な動機があり、想いがあったのでしょう。それを推察するのが自由句の読者側の楽しみです。余りにも明々白々な説明では、感興は沸きません。優しい表現ながら、人間的奥深さが感じられる名句の作句に挑戦して下さい。
 長々続いたシリーズも、ここで終えることにします。
 
 次号課題は「若 い」。課題句二句と自由句は三句をご投稿下さい。締切日は二月末日です。