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米国道路事情その5


藤川 壽夫   

1 GRAYHOUND BUS
  全米及びカナダ、メキシコの一部をカバーする3,800路線以上のネットワークを持つ世界最大のバス会社。
  ドライバーは、識見、技量共に水準以上の厳選された者が運行ごとに指定され、長距離(小生が乗った中ではEL PASO - LOS ANGELS約800KM)を一人で運行する。概して運転は上手で流石にプロドライバーだけはあるなと感心したが、中には、お粗末なドライバーも居たがコレは例外で途中降板した。
  バスは、普通のバスで少しリクライニングの効く座席間の距離も適当にあり、窮屈な思いはしない。中に○○EXPRESSという急行があるがコレには比較的新しい車を指定し、WiFiも完璧に使える。この仕様のバスには3回しか乗れず、バス内でネット可能と信じていた小生の期待を大きく裏切るものとなり、ひいては、宿の確保ができないという事態が生じた。
  トイレは、最後方にあり日本のものと変わらない。
  乗車時は、カミクズ一つ落ちていないが、降車時には床、座席にペットボトルやカミクズが散らかっている。乗車する人種は、黒人が最も多く、メキシコ系、ヒスパニック、黄色、白の順となる。
  座る位置はなるべくドライバーの直後に陣取るように心掛けた。やはり最安の移動手段であるだけに低賃金層や格安で移動するBACKPACKERが多いようだ。

2 バスターミナル(以下BTという)
  シカゴ、ボストン、ニューヨーク、ワシントンDC、アトランタ、ニューオーリンズ、サンアントニオ、エルパソ、ロス  のBTを利用した。どのBTも軽食程度は利用できるようになっておりAMTRACKと同居しているBTはとても清潔で気持ちが良い。
  大都会であるロスアンゼルスでもダウンタウンから遠い郊外にあり、BT外に出ることは危険この上ない。BTによっては切符保持者と見送り者とを分離し、セキュリティ検査を受けなければならないところもある。会社お抱えのセキュリティポリスが四六時中監視しており、少しでも挙動不審な者がいたら即尋問される。小生も2回ほど尋問とセキュリティCKを受けた。エルパソでは、若いメキシコ系の男が深夜に後ろ手に手錠を掛けられ事務所に連行されて行く場面に遭遇した。深夜でもロビーに居りさえすれば最低限の身の安全は保証される。

3 バスでの長距離移動
  今回は、何でも体験しようとの趣旨+人とのコミュニケーション+格安移動というのをベースにバス移動を選択したが、なるべくなら使わない方がベターだ!
  次回に使うとしたら中距離約300MILEくらいをネット利用の座席指定を利用したい。小生は、全米各地を30日間通用するアメリパス$461を現地で購入したが、これには後で大きな罠?が仕掛けられていたのである。そのワナとは、格安である代わりに座席指定は不可能というシロモノだったのである。
  事前に詳しく調べておけば良かったが、現地でしか分からん部分もある。
  ワシントンからアトランタに向けEXPRESSのアトランタ行きがあるのにそれに乗れず、結果6時間も深夜に待つことになったのである。この時ばかりは、心底腹が立ってBT内ではアルコール禁止の掟を破り、ザックの中からバーボンを取り出し、トイレの中で防寒と腹立たしさを沈めんがため少々戴いたのである。
  でも、バス旅行も捨てがたい味はある。