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ドクター大橋の「元気で長生き」講座(1)


                            H27.11.01

 ドクター大橋の「元気で長生き」講座(1)

    社会医療法人ジャパン・メディカル・アライアンス 医師
                  つばさ会会員 大橋 幸一郎

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◆はじめに
 本年3月30日付で防衛省を退官致しました、防衛医大1期の大橋です。その後、6月に開催されただるま会(統一期78期生の集まりで、7転び8起きからだるま会と命名)の昼食会に参加した際、つばさ会の会員でもある金子様から機関誌への投稿を打診され、今回、筆を取らせて頂きました。(注;HPへもほぼ同様に経緯にて依頼し、快諾頂きました) 私事ですが、防衛省を退官後、同期の誘いもあって6月1日より神奈川県海老名市に拠点を置くJapan Medical Allianceという社会医療法人に再就職致しました。同法人は、急性期病院を核として、回復期から療養型病院、及び特別養護老人ホーム(特養)などの介護施設の他、保育所まで幅広く経営を実施している医療グループで、切れ目のない医療を目指して地域医療に貢献しております。その中で私が担当している部門は、総合内科外来と療養病棟、そして特養の3か所です。老人医療につきましては自衛隊の中では殆ど経験する機会のなかった分野で、自身のボケ防止にも有効ではと期待しながら、現在、研修医に戻ったつもりで勉強しております。勤務以来、まだ日が浅いところではありますが、現在の勤務経験が少しでもつばさ会会員の皆様の「元気で長生き」のお役に立てれば本望です。

◆万人の望みGNP(元気で、長生き、ぽっくりと)
 以前、私がまだ現役で航空幕僚長がT空将の頃、グランドヒル市ヶ谷で開催された事務官の定年退職のパーティーの席上でC空将がお祝いの挨拶に立たれました。挨拶の冒頭、「これからはGNPです。勿論GNPとは国民総生産の事ではなく、G(元気で)、N(長生き)そしてP(ぽっくり)という意味です。」という話をされ、それを聞いていた会場は大いに沸いたものです。「ぽっくり」は少々余計かとも思いましたが、命が尽きる直前まで元気で趣味を含めて人生を楽しみ、美味しいものを沢山食べ、心許せる友と心豊かに愉快に過ごしたいというのは間違いなく万人の望みであります。
◆遺伝子と寿命
 最近、「健康寿命」という言葉をよく耳にするようになって参りました。人の寿命は遺伝子に強く依存しており、遺伝子は急には変化しないことから生物によって生きられる年数(寿命)には限りがあります。日本人の平均寿命は、昨年、男性が初めて80歳を超えて世界第3位、女性が86.6才で2年連続世界第1位となりました。遺伝子自体は変化しなくとも寿命は栄養や衛生環境の改善、健康診断の普及や医療の発達、そして健康に対する啓蒙活動など、様々な要因によって徐々に伸びており、今後とも僅かながら伸び続けるであろうと推測されています。

◆健康寿命と平均寿命
 人の寿命に対して「健康寿命」とは人が日常生活において支障なく生活できる年齢を意味する言葉で、寿命と同じように様々な要因で伸び続けております。しかし残念ながら2013年の統計における健康寿命の平均は、男性が71.2歳、女性が74.2歳という数字であり、健康寿命と平均寿命との間には、男性で約9年、女性で約12年の差があります。すなわち、あの世に行くまでに人のお世話になる期間、約10年を覚悟しなければならないという事で、今から介護を受けなければならない10年間のことを思うと、いささか心が重くなります。

◆ぽっくり逝くには元気で長生き
 この様な話をしていきますと、中にはいくら「元気で長生き」しても、最終的に介護を受ける期間は変わらないのではとお考えの方もおられるでしょう。しかしながら、統計学的にみれば高齢になればなるほど、その後の平均余命が短くなっています。つまり、「元気で長生き」すればするほど、ぽっくり逝ける可能性が高くなるということではないでしょうか?この「元気で長生き」シリーズをどのくらい続けさせて頂けるか分かりませんが、皆様と一緒に「元気で長生き」するにはどうすればよいかを勉強していきたいと思っています。

◆アンチエイジング
 参考までに、「元気で長生き」を目標として理論的・実践的科学を追及する学問に「アンチエイジング医学(抗加齢医学)」があります。抗加齢医学とは、加齢という生物学的プロセスに介入を行い、加齢に伴う動脈硬化や、がんのような加齢関連疾患の発症確率を下げ、健康長寿をめざす医学です。具体的には、元気とは「たとえ病気をもっていてもよい。人生の目標と生きがいが元気の源。精神的にも前向きで希望を持って暮らしていること。」、また長生きとは「長く元気で心楽しく暮らすことを長寿という。高齢者ほど心の健康が重要になる。長寿と喜べる環境づくり(国と人)が必要である。」と定めて、最終的にこれら元気と長生きを科学的に追及することを目標にしております。(日本抗加齢医学会ホームページから抜粋)アンチエイジングにつきましては、現在、多くの書籍やテレビ等で情報が溢れ、中には真反対のことをいう人もいて、どれが本当なのかさっぱり判断がつかないとお嘆きの方も多いことと思います。その理由は、人においては未だ明確なエビデンス(科学的根拠)が示されていないことだと考えますが、将来、アンチエイジングを唱えている人達がどれだけ「元気で長生き」したかで実証されるのかも知れません。

◆次回以降の実践編
 前置きが長くなり、残りの紙面が少なくなってしまいました。具体的な実践編については次回以降に譲ることとして、今回は各論の一部を紹介して締め括りと致します。
 1.健康寿命を延ばす生活習慣
   テクテク(健康づくりの適度な運動、テクテク歩きましょう!)
   カミカミ(和食パワーだ、カミカミしましょう!)
   ニコニコ(笑いの健康効果、ニコニコしましょう!)
   ドキドキ(五感を使って感動を、ドキドキ・ワクワクしましょう!)
 2.健康寿命や介護予防を阻害する3大因子
   1) 運動器症候群(ロコモティブシンドローム)
   2) 内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)
   3) 認知症
 3.抗加齢医学(アンチエイジング医学)とエビデンス
   人における確実なエビデンスは未だ存在しない
   カロリーリストラクション仮説と酸化ストレス仮説」


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