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大東亜戦争全戦没者合同慰霊祭に参加して


                            H29.07.20

 大東亜戦争全戦没者合同慰霊祭に参加して

                   つばさ会専務理事 吉岡秀之

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 平成29年度大東亜戦争全戦没者合同慰霊祭が7月8日(土)正午から靖国神社で約240名(そのうち約70名は在宅参拝者)が出席して行われました。つばさ会からは外薗会長が(公財)大東亜戦争全戦没者慰霊団体協議会(以下、協議会という。)特別会員代表として出席しました。私も協議会理事(つばさ会専務理事が兼務)として出席しました。貴重な体験をしましたので、本紙面を借りて協議会と合同慰霊祭について概要を紹介させていただきます。

 協議会は、戦没者慰霊諸団体構成員が他界、老齢化により、慰霊事業を継続していくことが困難になってきたため、平成17年7月に故瀬島龍三氏が発起人となり、設立されました。当初は慰霊団体連合会として一本化することを試みた様ですが、折り合いがつかず、最終的に諸団体の名称を残して、協議会となりました。協議会は、合同慰霊祭の他に、@慰霊諸団体連絡会議の実施、A慰霊諸団体が行う活動の支援、B戦没者遺骨収集、慰霊巡拝等への派遣協力などを行っています。特別会員には、つばさ会、隊友会、偕行社、水交会及び日本郷友連盟の5団体、正会員団体としてソ連抑留戦友会や東部ニューギニア戦友遺族会など41団体が参加しています。因みに、東部ニューギニア戦友遺族会の会長は堀江正夫氏(元陸将・元参議院議員)ですが、同氏は101才のご高齢にも関わらず、今なお眼光も鋭く慰霊事業に心血を注いでおられます。他団体の会長や会員もかなりの高齢ですが、皆さん老骨に鞭をうって頑張っています。唯一、JYMA日本青年遺骨収集団(以下、JYMAという。)は学生主体の団体であり、慰霊諸団体の希望的存在です。

 合同慰霊祭は国歌斉唱、祝詞奏上、協議会会長による祭文奏上、奉納演奏、そして昇殿参拝という次第で実施されました。奉納演奏ではコーラスグループと一緒に、御霊に届けと、「ふるさと」、「同期の桜」、及び「海ゆかば」を大きな声で斉唱しました。昇殿参拝では外薗会長など主催団体の代表が玉串を奉奠しました。約40分間の式典でしたが、靖国神社の独特な雰囲気もあり、深い感動を受けました。同時に不謹慎とは思いましたが、悪い癖でついあれこれ考えてしまいました。2つ紹介します。
 1つは慰霊諸団体の先行きです。多くの団体が数年先には年齢等の問題から活動停止に陥ると思われます。その場合、合同慰霊祭やシベリアやペリリュー島などで行っている海外慰霊祭の多くは難しくなります。また国内の陸・海軍墓地などで催されている慰霊祭も参加者の縮小等が予想されます。今後、誰がこれらの慰霊祭を引き継ぐのでしょうか。若い人々が関心を持ってくれなければ、次の代に慰霊祭を申し送ることは出来ません。松尾芭蕉が詠んだ「夏草や 兵どもが 夢の跡」の光景がそこに来ています。
 2つ目は遺骨収集についてです。国は平成28年3月に戦没者遺骨収集推進法を制定し、2016年から2024年までを「集中実施期間」と決めて遺骨を収集しています。しかし、今もって約113万柱が「海ゆかば」の歌詞の如く、「水漬(みづ)く屍、草生(くさむ)す屍」の状態です。急がないと、遺骨は土に帰ってしまいます。慰霊諸団体の会長等によれば、収集態勢も資金もまだまだ不十分ということです。つばさ会も不定期ながら要請を受けて1〜2名の有志が遺骨収集に参加しています。担当の厚労省には関連予算の増加とJYMAのような行動力ある団体の速やかな充実、強化をお願いしたものです。

 最後に、今回協会理事として戦没者に関係する実情を知り、改めて戦後処理が今なお道半ばであることを認識しました。慰霊諸団体のある会長から我が国の戦没者に対する取り扱いは同じ敗戦国のドイツに比べて大きく見劣りがするとも聞きました。どうしてこんな事になっているのでしょうか。この根っこには、戦没者に対する尊崇の気持ちが特に戦後世代の中で著しく希薄になっていることがあるように思われます。これを改善するには、若い世代にもっと戦没者や慰霊等について理解や関心を持ってもらわなければなりません。政府や国会議員にももっともっと実情を理解して貰わなければなりません。他方、つばさ会員のように正しい歴史観を持った人々が若い世代に戦没者や慰霊等について地道に普及していくことも同様に重要です。「隗より始めよ」という言葉があります。来年の合同慰霊祭等に長男を連れていくことを思案中です。

        (注:本記事は、平成29年7月10日(月)に書かれました)
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