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由良2佐の戦史記事


                            26.05.10
                          

 臨機応変と原則重視


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4 陸軍の対応
 同じような戦訓を前にして、陸軍は航空軍備を大拡充するとともに、その性質を抜本的に変更します。また、「航空作戦綱要」や「航空兵操典」といった運用の基本的な考え方のみならず、緒戦の戦訓を取り入れ1943年に作成されていた戦闘隊、爆撃隊等の各部隊別「運用規範(案)」を見直し、1944年には南太平洋方面での戦訓を取り入れた各部隊別の運用規範を配布します。いわば今までの考え方を大きく変更したともいえるのです。

 その中で最も大きな変化があったのが航空軍備に対する考え方です。陸軍首脳は従来までの地上部隊絶対という考え方を捨て、地上部隊を減らしてまで航空兵力を2.5倍に拡充するという決定を下しました。それとともに戦闘機、爆撃機等の航空部隊の構成の比率を変更することを決定しました。それまでの陸軍航空では戦闘部隊、爆撃部隊の兵力比がほぼ同じか、やや爆撃部隊が多いというものでした。それが1943年10月には戦闘機:爆撃機:襲撃機:偵察機:輸送機の兵力比が56.4:8.4:7.7:12.8:15.4に変更されます。爆撃機と襲撃機は基本的に同じ性格を持っていますので、戦闘機:爆撃機の比が3.5:1になったのです。これを実現するために既存の双発軽爆撃機部隊を解体し、その要員を戦闘機部隊に充当するということまで行われました。前述したように「疾風」が短期間に約3,500機も生産されたのはこの時の決定によることが大きいのではないかと考えられます。 (続く)


          幹部学校戦史教官室 由良富士雄


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