ニュース2011年12月27日


         政府、武器輸出三原則を緩和 共同開発可能に

  12月27日付の日経は、「政府は27日午前、首相官邸で安全保障会議を開き、武器や関連技術の海外移転を原則禁じる武器輸出三原則の事実上の緩和を決めた。戦闘機などの国際共同開発・生産への参加、国連平和維持活動(PKO)など平和構築・人道目的での装備品供与を例外とする新たな基準を設定した。閣議に報告し、藤村修官房長官が同日の記者会見で談話を発表した。

 新たな基準では(1)米国や友好国との共同開発・生産に参加(2)平和構築・人道目的に限った装備品の海外移転−の2点を例外とする。共同開発・生産の相手国は、米国や豪州、北大西洋条約機構(NATO)加盟国などに制限する。

 戦闘機などの兵器は装備の高度化に伴って価格が上昇し、一国だけでの開発・生産は限界になりつつある。航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)に決まったF35も米英9カ国による共同開発・生産だが、米国以外との開発計画であるため日本は加われなかった。

 今後は国際的な共同開発への参加で防衛産業が最先端技術に接する機会を増やし、調達コスト引き下げや相互運用性の向上につなげる。防衛省は中国やロシアの軍備増強を念頭に「限られた予算で効率的に防衛力を整備する」(幹部)との目的で武器輸出三原則の緩和を求めてきた。

 装備品ではヘルメット、防弾チョッキ、重機、巡視艇など殺傷目的に使われる可能性が低いものの海外移転を認める。自衛隊の海外派遣で使用した後に現地で供与する形を想定しており、相手国には秘密漏洩や第三国への輸出につながらないよう厳格な管理を求める。 」と伝えました。

  今回の武器輸出3原則は「緩和」で、いわば制限運用ですが、F-35関連装備品にも輸出可能性がある等、日本製の装備品が最新戦闘機に搭載される可能性があります。品質の向上、価格の低減等に結びつく結果が期待されます。

  日経の報道は、続けて「三原則は1967年に佐藤栄作首相が国会で「共産圏諸国」「国連決議で武器輸出が禁止された国」「国際紛争当事国かその恐れがある国」への禁輸を表明した。76年に三木武夫首相が全面禁輸に拡大した。国会答弁のため法的拘束力はなく、歴代内閣は官房長官談話によって個別に例外を設けてきた。

 三原則の大幅な緩和は民主党内や野党の一部にも慎重論が根強い。このため政府は三原則自体や「武器」の定義変更には踏み込まない。ただ今回の新基準で例外が大きく拡大することになり、三原則の理念とどう両立していくかが課題となる。

 民主党政権は当初、昨年12月の新たな防衛計画の大綱(防衛大綱)の決定に合わせて見直しに着手した。しかし当時の菅直人首相は社民党への配慮から検討を先送り。野田政権では9月に民主党の前原誠司政調会長が米国での講演で見直しを表明し、政府は11月末から関係副大臣級会合で議論してきた。」とあります。

  今後の具体的な展開と成果を期待したいと思います。


関連URLも参照してください。

http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E0E5E2E2E18DE0E5E3E0E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2




  続いて、関連情報です。


                       Lockheed: Japan Contractors Could Go Global


  12月20日付のロイターは、(F-35の)日本側契約者は、各国F-35への部品供給者となる可能性があると、ロッキード・マーチン社の幹部が語ったと報じています。「Japanese defense contractors, including Mitsubishi Heavy Industries, could become global suppliers to the F-35 stealth fighter program if Japan’s government decides to ease a decades-old ban on exports of military equipment, an official at Lockheed Martin said.」

  報道は続けて、武器輸出3原則の緩和が、F-35の各国への部品供給に貢献する非常に好ましい機会となろうとも述べています。 「“The Japanese aerospace industry is world class, so if there was a relaxation (of the export ban) it would be very logical for them to have the opportunity and indeed it would be a very good opportunity to participate in the F-35 global supply chain,” Dave Scott director of international business development for the stealth fighter told Reuters on Tuesday.」
 
  42機のノックダウンともいえる形態から開始されるF-35の一部国内製造ですが、将来的には大化けする可能性がありそうです。米国議会の承認も期待したいと思います。

関連URLも参照してください。
http://www.aviationweek.com/aw/generic/story.jsp?id=news/awx/2011/12/20/awx_12_20_2011_p0-408303.xml&channel=defense



                        

                              製造ライン上のF-35(B)



  官房長官記者発表「防衛装備品等の海外移転に関する基準について」は、関連URLを参照してください。
http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201112/27_a.html

  防衛大臣記者会見はこちらです。
http://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2011/12/27.html