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 <防衛省>装備品契約 業者有利に改定 現行では不正誘引と

1 概要

  1月6日付の毎日新聞は、「<防衛省>装備品契約 業者有利に改定 現行では不正誘引と」と報道しました。
  三菱電機が防衛装備品の経費を過大請求した問題について、防衛省が調査報告書の中で、業者側が適正な利益を得られない契約制度が不正を誘引したと自らに不利な分析をしていることが分かった。これを受けて同省は、利益を現行以上に上乗せすることや、契約金額と実際にかかった経費の差額の返還を求めないなどの方向で見直しを検討。契約制度が業者側に有利な形で改定される見通しだ。
  見直しが検討されているのは「原価監査付き」と呼ばれる契約方法。一般に流通しておらず適正価格が不明確な装備品などの調達に用いられ、材料費や設計・加工に関する人件費などの見積もりに標準的な利益を上乗せして契約金額を決める。実際にかかった人件費などとあらかじめ見積もっていた利益を合計した経費が契約金額を下回れば差額を返還させるが、上回っても超過分は補填(ほてん)されない。三菱電機は、見積もりを上回った装備品の作業経費を別の装備品の作業に付け替えるなどし1970年ごろから水増し請求していた。
   防衛省によると、赤字回避や防衛事業継続のための利益確保が動機で、社内には「国に補填してもらえない赤字を自社の工夫で平準化している」との意識が強かったという。
   同省は、防衛装備品の開発や量産の初期段階で予想外のコストが発生した場合、リスクを企業側だけに負わせていたことが不正の原因の一つと分析。リスクに見合う利益を上乗せすることや、超過した経費は補填しないが経費が契約金額を下回っても返還を求めないなどの改善策を検討している。ある幹部は「現行のように利益が少ないままでは、装備品の生産を続けられず調達に支障が出る恐れもある」と見直しの理由を説明する。


2 所見

  平成24年12月21日、防衛省は、「三菱電機(株)、住友重機械工業(株)及びその関係会社5社による過大請求事案について、これまでの特別調査の結果、本日、過払い額を算定するとともに、過大請求が行われた動機・背景等を分析し、制度調査の強化、違約金の見直し、指名停止要領の整備等の再発防止策を策定致」しました。
   報告書の中で注目すべき点は、発生費用の支払いについて官側にも反省すべき点があったというものでした。報道はこれを受けたものと思われますが、内容には首をかしげる点もあります。「リスクに見合う利益の上乗せ」、「経費が契約金額を下回っても返還を求めない」とありますが、契約相手方が受け取り利益率の上限は5%と決められています。これを越えて防衛省契約だけが容認されるとは考えられません。また、リスクをどうやって価格算定するのか。そして、余剰分を返納しないのであれば、確定契約と一緒です。国の契約において国損を与える、言い換えれば税金の無駄遣いをするような契約行為が容認されるとも考えにくいところです。
   記事にもう更なる掘り下げが欲しいところです。
   しかし、乙に不利となる契約条件での契約継続することには無理があります。発生原価+GCIPの確保は健全な防衛産業育成のために必須の要件です。特に補給処整備を会社整備に依存する航空自衛隊にとって整備会社の存続が危ぶまれたり、事業の継続が困難となるようでは任務遂行や防衛力の整備に多大の影響を与えます。
   空自の調達職域の関連職員からも発生原価のうち、容認した費用は支払うべきとの意見が昔からありました。官側要求(仕様)の明確化、会社見積もりの精度向上、予算の確保、原価監査の正確さと適正価格の支払いを図り、もって官民相互の発展を目指すべきと思います。


3 関連URL
   関連URLも参照して下さい。
   <防衛省>装備品契約 業者有利に改定 現行では不正誘引と
   http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130106-00000003-mai-pol

   三菱電機(株)等による過大請求事案の概要及び再発防止策の公表について
   http://www.mod.go.jp/j/press/news/2012/12/21a.html


4 過払い事案(概要まとめ)
  工数付け替え等により過大請求したことはけしからん。
  違約金、法定利息をつけて過払い額を支払ってもらう。
  地方契約分の過払い額も返済してもらう。
  とはいえ、十分な費用を支払っていない面もあったことはすまんかった。ここは考えていく。
  それから、まだ過大請求したままの会社があれば、懺悔の期間を設けるからその時に申し出よ。