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武器輸出3原則-新たな視点

                                        H260220

1 概要

 2014.2.18 付の産経新聞WEBは、[主張]欄で、「武器輸出三原則 平和に資する見直し急げ」と報じました。
 
 内容は、「政府は国連平和維持活動(PKO)の関連組織への供与や防衛装備品の国際共同開発・生産の推進に向け、武器輸出三原則を抜本的に見直し、来月にも新指針を決定する方針だ。国際貢献や防衛技術水準の向上に欠かせないものであり、評価できる」とするものであり、全く同意できるものです。

2 所見

 インドにはUS-2✕5機の商談が進捗中であり、事務次官を派遣してまでの努力が功を奏しつつあります。

  さて、ここで取り上げたいのは、本記事の最後にある「東南アジアには、日本の中古護衛艦の輸入を望む国もある。」という箇所です。日本政府としては、中古ではなく新たに護衛艦を建造して送るという計画があると聞いています。しかし、記事にあるように、国によっては最新の装備品でなくてもよいところがあるのも事実です。いたずらに手のかかる最新鋭艦よりも、操作しやすく維持コストも安い旧式の艦船が喜ばれるかもしれません。

  日本には、旧式の装備品も多数存在し、更新の時期を待っています。これら旧式の装備品を輸出し、役に立てることは出来ないものでしょうか。
  例えば、ホークミサイル。アジアではインドやシンガポールが現在使用中であり、インドは今後も使い続けるとしています。しかし、アメリカではすでに生産を終了し、サービスも終わっています。PCでいえば、今後のXPのようなものでしょうか。

  ここに日本が部品供給、整備、補給、プログラム等、支援できそうな分野があります。日本のきめ細かい維持プログラムや丁寧に管理された装備品は外国に輸出されても十分、当該国の防衛に役立ちそうです。

  日本版装備庁を計画するとき、また武器輸出3原則の緩和を検討するとき、旧式装備品の輸出についても検討して欲しいものです。商談のまとめ、契約の締結は、国家間で実施と、国内装備品の整備、輸出、また、相手国での維持管理のサービス等の分野で国内企業が役に立てる場面がありそうです。

  輸出額をもって国庫を潤し、結果として国内新規装備品の取得をより効率的に行うことが期待できます。維持管理契約で、安定した事業の継続も期待できそうです。相手国内での、維持管理、教育等に自衛隊OBが活躍する場面もあるかもしれません。

 現役時代には、某国から、エンジンの整備を日本企業に依頼したい、T-33を売って欲しいとの問合せが実際にありました。時代は変わりつつあります。OH-6、旧型DD、P-3C、F-4、サイトレーダー、通信機等々、探せば、輸出対象となりそうなものはたくさんあります。いずれT-4も対象となるかもしれません。日本国、相手国、企業、それぞれがウィン。ウィンの関係になることが期待できそうです。

  中国の影が拡大しつつ東南アジアでは、安価な防衛装備品に対する需要は高いようです。すでに米国で生産していないものについては、競合が発生することもありません。日本としても武器輸出3原則が緩和され、その範囲であれば、すすめていくべき話と思います。

  先の産経新聞記事の「武器輸出はすべて『平和国家の理念を脅かす』といった固定観念を脱し、地域にとっての抑止力となるなど、国益に合致する政策は積極的に選択肢に入れるべきだ」との結論には、全くもって同意するものです。


3 関連
URL
   関連URLも参照して下さい。   http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140218/plc14021803130002-n1.htm