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演題:「米国軍事情勢等」
 − 防衛駐在官勤務を終え −

     (前米国防衛駐在官)
     防衛大学校 防衛学教育学群長
            空将補 引田 淳

1 10年戦争の終結
 オバマ大統領肝いりの「10年戦争の終結」を迎え米軍は大きな転換点に差し掛かっています。国防予算の削減による軍の規模縮小に関わらず能力は維持するというものの、今後の予算の推移では機能、即応性も影響を受ける可能性はあります。2014年3月に発表されたQDRでも、複数正面対処についてかなりトーンダウンした書きぶりとなり、能力への自信喪失、消極的姿勢が垣間見えます。中間選挙の結果が今後どのように作用するか、予算状況、特に削減規模がどのようになるかは不透明ですが能力への影響局限が米軍の直面する最大の課題だと思います。

2 リバランスについて
 米国家戦略指針に基づくリバランスは、ご承知のとおり米国の外交政策重心をアジア太平洋地域に移すというものです。伸びゆくアジア経済への関与による米国経済の発展という狙いがあり、中東での戦争に自らが終止符を打ちたいオバマ大統領の強い思いと、米国内に蔓延する厭戦気分を解消するとともに、膨らみ続ける国防予算(作戦経費)を元に戻すという、それぞれの目的に合致する戦略転換です。リバランスは決して軍事的な意味合いだけではありませんが、国防省としては紛争の予防、各種事態への対応、大規模地上部隊の帰還に伴う受け皿、経済活動とのタイアップ等の狙いがあります。国防省高官は重ねてリバランスの推進には一点の曇りがないことを強調していますが、今後の国際情勢がその推進を左右することは間違いのないことだと思います。我が国への影響も忘れてはなりませんが地域の安定、我が国の防衛のため日米関係の更なる強化を期待します。